「シミやシワよりも、言葉のほうが記憶に残る」本当に大事にしたい女性の品位とは?

年を重ねるごとに、経験を生かしてどんどん軽やかになる女性がいる一方で、「聞く耳を持たない先輩」や「頭の固い先輩」になってしまう女性も……。

30代は、後輩や部下も増え、仕事の責任も増していく世代です。一本芯の通った女性として、頑固になりすぎずに上手くコミュニケーションをとるには、どんなことに気をつけたら良いのでしょうか。

『働く女の品格 30歳から伸びる50のルール』(毎日新聞社)の著者で、アドット・コミュニケーション代表取締役の戸田久実さんに、働く女性が知っておきたい心構えについてうかがいました。

最終回のテーマは「本当に大事にしたい女性の品位」について聞きます。

【第1回】あいさつしない後輩にも背景がある
【第2回】「注意してもらえない」中堅世代どう乗り切る?
【第3回】不安を具現化して解消する方法
【第4回】頼り下手な貴女へ 上手なお願い力って?

相手のことをマイナスにジャッジしてない?

——前回のお話では、私たちはコミュニケーションにおいてたくさんの思い込みをしていることがわかりました。これも思い込みだと思うのですが、私は何か失敗してしまったときに謝るタイミングが掴めないんです。急に手のひらを返したとか気分屋だと思われないか心配になってしまって……。

戸田久実さん(以下、戸田):これまでの話と同様に、それはもう思い込みですね(笑)。だって、先輩にものすごく叱られた後に「さっきは言い過ぎてごめんね。こういう背景があってあんな言い方になってしまったけど、私が伝えたいことはこういうことだったんだよ」って言われて、嫌な気持ちになりますか?

——……なりません。

戸田:「絶対にこう思われるだろう」っていうのは、もしかしたら何か似たような経験があってそう思っているのかもしれないですね。でも、思い込みなんですよ。そして、相手のことを「すぐに謝ったら私を『嫌な奴』と思う人」と決めつけて、信頼していないということでもあります。相手のことを、マイナスにジャッジしてしまっていますよね。

——ネガティブな思い込みに振り回されているんですね。戸田さんのお話にあった「とにかく言ってみる」「許容範囲を広げてみる」ということが、相手を信頼することにつながりますか?

戸田:その前提は、「自分を信頼できていること」なんですよ。自分の価値観も大切だけれど、相手の価値観も大切に耳を傾けることが、許容するということ。相手の価値観を認めることは、自分の価値観を否定することにはなりません。人にはそれぞれ、ああしてほしい、こうしてほしいという希望や願望、要望はあります。それに耳を傾けることは決して自分の価値観を曲げることではないし、耳が痛くなるような指摘に耳を傾けることは自分を全否定することではないんです。

——自分を信頼するって、できているつもりでも難しい気がします。

戸田:そうですね。ときには自分の性格的に良いところ、能力的にできること、優れていること、そういうところをちゃんと認める。そして、自分の不完全なところも、「別に人間不完全なところがあったとしても、完璧じゃなかったとしても、人としての価値が下がるわけじゃないんだ」という自分への信頼の土台をつくること。それができていれば、耳の痛い意見も引き受けられるし、ときには「私が言ったことを、相手も耳を傾けてくれるよね」って信じることができるんですよ。なぜなら自分ができるから。

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不完全な自分を認める勇気

——先ほどのお話は「自己受容」ということですね。ポジティブなこともネガティブな側面も、ありのままを受け入れるというか。

戸田:そのとおりです。ただ、自分のことを受け入れるとか自分を信頼するって、当たり前のようで実はすごく勇気がいることですよね。この強さがないから、防衛的・攻撃的な反応をする人が多いのです。たとえば、自分よりも年下の人のほうがしっかりしていて「先輩、それ違いますよ」って指摘してくれることもありますよね。そのときに「私に指摘するなんて、ナマイキ!」と思うのか、「ああ、ありがとう教えてくれて」と思うのか。後者のほうが良くないですか?

——良いです、そうなりたいです。

戸田:自分だって完璧じゃないからうっかりはする。むしろある分野に関しては20代の子のほうが長けているかもしれないと受け入れることは、「自分はダメ人間だ」とレッテルを貼ることじゃないんですよ。自分は不完全だということを認められる勇気があるってことなんです。

その分、20代の子にもできないことがあるし、逆に頑張ってきたこともある。20代の子も、先輩のことを陥れようと思っているわけじゃないよね、と思えるわけでしょう。だから、自己受容が備わったら、30代になっても周りから「この人は頑固で面倒な人だ」って思われなくなるんじゃないかなって思います。

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シミやシワよりも、発した言葉のほうが相手の記憶に残る

——最後に、30代で戸惑いながらも「善い先輩、善い大人、善い40代になりたい」と頑張っている読者に向けて、何かアドバイスをいただけないでしょうか。

戸田:本にも書いたことで私がお伝えしたいことは「あなたの顔のシミやシワよりも、発した言葉のほうが相手の記憶に残る」ということです。私はこれまで多くの女性に会っていますが、美容や健康に気を遣っている人は多いけれど、振る舞いまで意識できている人は少ないなと感じます。30代になっても職場で「やべえ」とか「メシ行こー」なんて言葉づかいでは、自分の品位を落としてしまいます。

海外の女性なんて、シワもシミも いっぱいあるけれど、それよりも、どう振る舞う? とか、どういう言葉を発する? ということにとても意識を向けている。そんな素敵な女性たちがいっぱいいるんです。自分に手をかけ、5年後、10年後にどんな女性になりたいかを意識して、言葉や振る舞いにも気を付けていれば、きっと後輩に「面倒な人」なんて思われることはないでしょう。人の目や思い込みからから解放された素敵な女性になれていると思いますよ。

(取材・文:むらたえりか、写真:青木勇太)

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